おまえが言うな

大阪市立桜宮高校生が2012年12月23日、体罰を苦に自殺した(産経West)問題で、橋下徹大阪市長の暴走が止まらない。

2013年1月10日「市教委には任せられない。僕が指揮を執る」と宣言、1月17日には同校体育系2科の入試中止や教員総入れ替えに慎重な市教委に対して予算を“人質”に圧力をかけた(産経West)。毎度の彼の過激な言動は一部にはウケるのかもしれない。だがここまで来ると狂気の沙汰。

「おまえが言うな」といいたい。橋下徹は「教育は2万パーセント強制」と述べ「いじめ行為に加担していた自分の子供を(体罰として)50分近くも投げ続けた」と告白、暴力を暴力で対抗する人物だ。彼が率いる維新の会の教育基本条例の最初の案には体罰を容認する条項があった(朝日新聞)。むしろこの前大阪府知事、現大阪市長の姿勢が、今回のような事件を引き起こす背景のひとつではないかとも考えられるのだ。

力づくで服従させるって、体罰と同じ論理でしょ。そういえば橋下徹は大阪府知事時代に部下をパワハラで自殺に追いやっている(現代ビジネス)。

参考リンク:
1. 「橋下知事の体罰肯定発言」(やすいゆたかの部屋ブログ)
2. 体罰肯定派だったはずの橋下さんが、都合よく体罰絶対反対の正義漢になって教育支配に乗り出している件(togetter)

Posted on 23 Jan 2013, 19:14 - カテゴリ: 右傾化とハシズム
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排外主義

国内の問題から目を逸らすため、外国の脅威を煽ることは常套の手法だ。しかし、いわゆるネット右翼のそれは戦前ドイツのナチズムとあまりに似すぎ。

ドイツは第1次世界大戦で敗れ、戦勝国である英国、フランスなどから多額の賠償金を負わされる(ベルサイユ条約)。戦後は当時先進の民主的憲法(ワイマール憲法)の下で共和制を歩む。しかし大統領は旧保守派、議会第1党は社会民主党という「ねじれ」で政情は不安定だった。その状況下で国民の期待を得たのがナチス(国家社会主義ドイツ労働者党)だった。

ナチスはドイツ窮乏の原因は戦勝国が押し付けたベルサイユ条約、それと戦えないワイマール体制、それらを裏で操るユダヤにあるとした。

いまの日本の問題は戦後レジーム(=ヤルタ・ポツダム体制)にあり、反日勢力と呼応する在日コリアンを打倒すべき敵とするネット右翼の主張がこれと瓜二つなことに驚く。

ヨーロッパにおける反ユダヤ感情は根深い。シェイクスピアによる戯曲『ベニスの商人』には強欲なユダヤ人の金貸しが登場する。第1次大戦のころヨーロッパで有力な金融資本ロスチャイルド家はユダヤ系ドイツ人だったという。国が勝っても負けても戦費を貸した金融資本はちゃっかり潤う。彼らを「我々が戦場で流した血を吸って肥太る蛭」と、ヒトラーは呼んだ。

しかしこの喧伝とは裏腹に、実際に迫害を受けた多くは貧しいユダヤ人たちなど社会的弱者だった。日本の右翼が在日コリアンを排撃するのに「彼らがパチンコ業界を牛耳っていて」云々を持ち出すのは、ナチスが「死の商人」たる国際金融資本を批判したのに比べるとスケールはかなり小さい。いずれにせよじっさいは弱い者いじめにすぎないことは共通している。

当サイト内の関連ページ:
「ヒトラーの時代と戦前の日本(橋下徹はヒトラーになれるか?の後半部分)」

Posted on 15 Jan 2013, 20:57 - カテゴリ: 右傾化とハシズム
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戦後レジーム

安倍晋三(現総理)は「戦後レジーム」からの脱却を目指しているという(安倍晋三公式ページ)。この「『戦後レジーム』からの脱却」という言葉は、右翼が使ってきたスローガン「YP体制打倒」を言い換えたものに過ぎない。

面白いサイトがあった。いわゆるネット右翼のポータルということのようだが、『戦後レジームの正体』によれば「戦後レジームとは、YP体制(ヤルタ・ポツダム体制)のこと」。このページに日本の戦後処理を決めたヤルタ協定、ポツダム宣言がまとめてある。私のブログでとり上げたポツダム宣言の第12項(占領軍の撤収)について、このネット右翼が何のコメントもしないのは不思議なことだ。

同じサイトに『『GHQの占領政策と影響』という記事がある。要約では(6)「共産主義中国の出現によるショックで方針を大転換」、いわゆる「逆コース」(ウィキペディア)に触れている。これに関連し、私は 2.1ゼネストの中止と公務員の労働権・政治権の制限について書いた。

時系列の大項目4. 「占領政策の大転換:昭和24年(1949)10月1日~」には次のように記載されている。後半部分を転記する。
(4)昭和25年(1950)7月24日:共産党指導部の追放指示、併せて官界/言論界/一般企業から共産主義者(1万数千名)を追放(レッドパージ)
(5)昭和25年(1950)8月10日:GHQの指令に基づき、警察予備隊(自衛隊の前身)創設
(6)昭和26年(1951)9月8日: サンフランシスコ講和条約締結 、併せて、 日米安全保障条約締結 (日米同盟を構築)


私に言わせれば「逆コース」、自衛隊、日米安保、これらが「戦後レジーム」の核心だ。GHQの意を受け戦後日本を統治した吉田茂、GHQにより巣鴨から出てきたA級戦犯である岸信介、この孫たちが政治の中心に居る状況こそ、脱却すべき「戦後レジーム」ではないのか。


当ブログ内関連ページ:
1. 占領軍による押し付け(1)安保条約
2. 占領軍による押し付け(2)官公労対策

Posted on 27 Feb 2013, 0:20 - カテゴリ: 日米同盟
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戦争する気あるの?

腹が減っては戦はできぬ。

幕末の島津藩は小高い丘にことごとく要塞を作り、そこに薩摩芋を植えた。サツマイモは痩せた土地でも収穫できる優れものだ。薩摩藩はこの苗を藩の外に持ち出すことを禁止した。

さきの大戦で日本軍の戦死者は200万に及ぶと言われている。その多くは敵の銃弾に当たったのではなくて兵站の欠如による餓死や、栄養失調が重なっての病死だった。

安倍(自民党総裁)は自衛隊を「国防軍」に昇格させると言っているし、橋下(日本維新の会代表代行)はGDP1%枠を超えて戦力を増強すると言っている。しかしいくら兵器を揃えたところで、食料自給率39%、エネルギ自給率4%で戦えるのか。どう考えても無理に決まってる。それが分かりきっているのに威勢の良い言葉を吐く彼らはウソをついているに違いない。

TPPに参加すれば食料自給率は13%にまで下がるとの試算もある。維新の会、みんなの党はTPP推進。自民党もいずれTPP推進に走るだろう。彼らにこの国を防る気があるのかどうか。


Posted on 8 Jan 2013, 9:50 - カテゴリ: 国防軍
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谷垣総裁はなぜ降ろされた?

さきの総選挙(2012年)を前にして自民党は谷垣禎一総裁に代えて安倍晋三を新総裁を選んだ。なぜ谷垣ではダメなのか、その代わりが選りにもよってなぜ安倍なのか。私には疑問だった。しかし、こういうことなのかと想像することができる。

谷垣前総裁は国会を解散に追い込んだ功労者だった。逆にそのことが彼を選挙の看板にできない理由でもある。2012年8月、民自公3党談合で消費税増税法案を可決、その国会最終盤の参議院で内閣問責決議案を巡って、あわや3党合意はご破算、消費税増税は流産するかもしれないという危機があった。これを野田-谷垣密室会談で解散の約束と引換に消費税増税法案を可決したのだった。

増税を看板に選挙で勝てるわけがない。この首をすげ替えることで、自民党は選挙のさいに消費税増税についてあいまいにすることができた。デフレ脱却が先で、「経済状況を確認した上で8%消費税の実施を内閣が判断する。」(2012年11月21日発表の自民党選挙公約(案)J-ファイル2012)とのこと。

もうひとつの問題は選挙後の政権枠組み。自公で安定多数を取ればよいのだが、その保証はなかった。自公民で行くにも国民の反発が予想される。そこで有望なのは維新の会を取り込むことだった。安倍晋三は「橋下氏は戦いの同志」とまで持ち上げるほど維新の会とは共通点がある。そもそも橋下徹が維新の会の国政進出にあたって党首に迎えようとしたのが安倍晋三だった。いっぽうで谷垣は橋下の危険性を識る一人で、維新の会との連携に支障があるかもしれない。

以前のブログ記事にも書いたが、支配層にはこの国の操縦の仕方が分らない。分からぬままに、ハンドルをとりあえず右に切ってみる。 その危険を戦前のドイツに学ぶべきだ。



Posted on 1 Jan 2013, 10:47 - カテゴリ: 右傾化とハシズム
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