戦後レジーム

安倍晋三(現総理)は「戦後レジーム」からの脱却を目指しているという(安倍晋三公式ページ)。この「『戦後レジーム』からの脱却」という言葉は、右翼が使ってきたスローガン「YP体制打倒」を言い換えたものに過ぎない。

面白いサイトがあった。いわゆるネット右翼のポータルということのようだが、『戦後レジームの正体』によれば「戦後レジームとは、YP体制(ヤルタ・ポツダム体制)のこと」。このページに日本の戦後処理を決めたヤルタ協定、ポツダム宣言がまとめてある。私のブログでとり上げたポツダム宣言の第12項(占領軍の撤収)について、このネット右翼が何のコメントもしないのは不思議なことだ。

同じサイトに『『GHQの占領政策と影響』という記事がある。要約では(6)「共産主義中国の出現によるショックで方針を大転換」、いわゆる「逆コース」(ウィキペディア)に触れている。これに関連し、私は 2.1ゼネストの中止と公務員の労働権・政治権の制限について書いた。

時系列の大項目4. 「占領政策の大転換:昭和24年(1949)10月1日~」には次のように記載されている。後半部分を転記する。
(4)昭和25年(1950)7月24日:共産党指導部の追放指示、併せて官界/言論界/一般企業から共産主義者(1万数千名)を追放(レッドパージ)
(5)昭和25年(1950)8月10日:GHQの指令に基づき、警察予備隊(自衛隊の前身)創設
(6)昭和26年(1951)9月8日: サンフランシスコ講和条約締結 、併せて、 日米安全保障条約締結 (日米同盟を構築)


私に言わせれば「逆コース」、自衛隊、日米安保、これらが「戦後レジーム」の核心だ。GHQの意を受け戦後日本を統治した吉田茂、GHQにより巣鴨から出てきたA級戦犯である岸信介、この孫たちが政治の中心に居る状況こそ、脱却すべき「戦後レジーム」ではないのか。


当ブログ内関連ページ:
1. 占領軍による押し付け(1)安保条約
2. 占領軍による押し付け(2)官公労対策

Posted on 27 Feb 2013, 0:20 - カテゴリ: 日米同盟
No comments - Edit - Delete


戦争する気あるの?

腹が減っては戦はできぬ。

幕末の島津藩は小高い丘にことごとく要塞を作り、そこに薩摩芋を植えた。サツマイモは痩せた土地でも収穫できる優れものだ。薩摩藩はこの苗を藩の外に持ち出すことを禁止した。

さきの大戦で日本軍の戦死者は200万に及ぶと言われている。その多くは敵の銃弾に当たったのではなくて兵站の欠如による餓死や、栄養失調が重なっての病死だった。

安倍(自民党総裁)は自衛隊を「国防軍」に昇格させると言っているし、橋下(日本維新の会代表代行)はGDP1%枠を超えて戦力を増強すると言っている。しかしいくら兵器を揃えたところで、食料自給率39%、エネルギ自給率4%で戦えるのか。どう考えても無理に決まってる。それが分かりきっているのに威勢の良い言葉を吐く彼らはウソをついているに違いない。

TPPに参加すれば食料自給率は13%にまで下がるとの試算もある。維新の会、みんなの党はTPP推進。自民党もいずれTPP推進に走るだろう。彼らにこの国を防る気があるのかどうか。


Posted on 8 Jan 2013, 9:50 - カテゴリ: 国防軍
No comments - Edit - Delete


谷垣総裁はなぜ降ろされた?

さきの総選挙(2012年)を前にして自民党は谷垣禎一総裁に代えて安倍晋三を新総裁を選んだ。なぜ谷垣ではダメなのか、その代わりが選りにもよってなぜ安倍なのか。私には疑問だった。しかし、こういうことなのかと想像することができる。

谷垣前総裁は国会を解散に追い込んだ功労者だった。逆にそのことが彼を選挙の看板にできない理由でもある。2012年8月、民自公3党談合で消費税増税法案を可決、その国会最終盤の参議院で内閣問責決議案を巡って、あわや3党合意はご破算、消費税増税は流産するかもしれないという危機があった。これを野田-谷垣密室会談で解散の約束と引換に消費税増税法案を可決したのだった。

増税を看板に選挙で勝てるわけがない。この首をすげ替えることで、自民党は選挙のさいに消費税増税についてあいまいにすることができた。デフレ脱却が先で、「経済状況を確認した上で8%消費税の実施を内閣が判断する。」(2012年11月21日発表の自民党選挙公約(案)J-ファイル2012)とのこと。

もうひとつの問題は選挙後の政権枠組み。自公で安定多数を取ればよいのだが、その保証はなかった。自公民で行くにも国民の反発が予想される。そこで有望なのは維新の会を取り込むことだった。安倍晋三は「橋下氏は戦いの同志」とまで持ち上げるほど維新の会とは共通点がある。そもそも橋下徹が維新の会の国政進出にあたって党首に迎えようとしたのが安倍晋三だった。いっぽうで谷垣は橋下の危険性を識る一人で、維新の会との連携に支障があるかもしれない。

以前のブログ記事にも書いたが、支配層にはこの国の操縦の仕方が分らない。分からぬままに、ハンドルをとりあえず右に切ってみる。 その危険を戦前のドイツに学ぶべきだ。



Posted on 1 Jan 2013, 10:47 - カテゴリ: 右傾化とハシズム
No comments - Edit - Delete


占領軍による押し付け(2)官公労対策

安倍晋三は繰り返し「官公労主体の民主党を倒さねばならない」と言っている。雑多な民主党の中でなぜ官公労なのか。そもそも官公労は1958年に解散している。「官公労」という今は存在しない組織名を使うところ、どうもこの人は半世紀ほど前からタイムマシンに乗ってきたらしい。
(当ブログ内関連記事:「共産党・日教組・朝日新聞」)

日本の公務員にはスト権が無い。そんなこと当たり前と思うかもしれないが、他の国、たとえばフランスなんか教師もしょっちゅうストライキをやる。日本も批准しているILO第87号条約第98号条約は労働者の団結権及び団体交渉権の保障について定めており、公務員もその例外ではない。日本が公務員の労働基本権を制限していることについて、その改善を求める勧告がILOから再三出されている

日本ばかりがなぜそのようになったかは、戦後の米軍占領下に遡る。

戦後日本の民主化を進めていた進駐軍(GHQ)だが、高まる労働運動に「このままでは日本が共産化する」と危機感を持ったのだろう、1947年2月1日に予定されていたゼネラル・ストライキを禁止する。このゼネストの主力に官公労があった。これを抑え込むためにGHQは1948年、芦田内閣をして政令201号を出させ、国家公務員法の修正と人事院規則により国家公務員の団体交渉権、争議権を否認するとともに政治活動に制限を加える。

なお、地方公務員法での労働権・政治活動の制限は国家公務員ほど厳しくない。その理由として成立時期の違いも指摘されているが、重要度についてGHQの認識が国家公務員に比べて低かったのだろうと私は想像する。これを国家公務員並み、いやそれ以上に制限する大阪市の例にはマッカーサーも顔負けだ。

参考リンク
1. 「主要諸外国における公務員の労使関係」(人事院)
2. 「改正国家公務員法の成立の経緯」(人事院)
3. 労働基本権(ウィキペディア)
4. 二・一ゼネスト(ウィキペディア)


Posted on 30 Dec 2012, 16:30 - カテゴリ: 日米同盟
No comments - Edit - Delete


占領軍による押し付け

現行憲法は占領軍による押し付けによるものだから「自主憲法」を制定すべきだという勢力がある。しかし占領軍による押し付けを言うならば、それは日米安保条約ではないのか。1952年のサンフランシスコ講和にあたって、アメリカ軍が以降も日本に居座る根拠として、押し付けたものが(旧)日米安保条約だった。

敗戦にあたって日本が受諾したポツダム宣言にはこう書いてある。

十二、前記諸目的カ達成セラレ且日本国国民ノ自由ニ表明セル意思ニ従ヒ平和的傾向ヲ有シ且責任アル政府カ樹立セラルルニ於テハ聯合国ノ占領軍ハ直ニ日本国ヨリ撤収セラルヘシ

すなわち日本の民主化、日本軍の武装解除と再軍備の防止(諸目的)を達成し、国民主権の平和的政府が樹立されたら占領軍は撤収することになっている。すると占領軍が駐留軍と名前だけ変えて現在も居座っているのは、平和的政府がまだできていないからなのか。再軍備の危険、いや事実上再軍備されているからなのか。

ヒントが安保条約第10条にある。現行日米安保条約の第10条に以下の規定がある。

いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行なわれた後一年で終了する。

この規定にもとづき日米安保条約の廃棄を通告できる政府ができるとき、そのときこそ、やっとこの国が独立国となる。

Posted on 29 Dec 2012, 10:38 - カテゴリ: 日米同盟
No comments - Edit - Delete


Pages: ... [18] [19] [20] [21] [22] [23] ...