餅は餅屋
1.電話するのはどっち?人が倒れているのを見たら、電話するのは110番ではなく119番。さて、警察と消防はどう違うのか。救急車はなぜ消防署なんだろう。
警察と消防、それに軍隊は、それぞれに管轄がある。人の生命や財産を脅かすものが人である場合は警察で、それ以外のもの、火事、自然災害、伝染病など、すべて消防の担当となる。放火はどっち?というのはややこしい。また救急についてはまとめて消防が担当している。
2.軍隊と警察の領域
軍隊は警察と似てるが、どこが違うのか。警察より強いのが軍隊?そういう問題ではない。相手が自国民の場合は警察で、外国人のときは軍隊?そうではない。国内で犯罪を犯せば、それが外人であっても警察の管轄。
軍隊と警察の管轄の違いは、その活動場所。国内が警察で、国外で活動するのが軍隊。なせこのように分かれているかというと、軍隊は裁判なしに人を殺すことができる。そんな危ない部隊に国内で活動されては困る。軍隊が自国民に対して銃口を向けてはならないというのは近代国家の常識(映画『マーシャル・ロー』などを見よ)。
いろんなツッコミがあるかもしれない。警察も拳銃を使うことがある。軍隊でも理不尽に人を殺せば裁かれる。軍も治安出動、災害支援などでは国内で活動する。などなど。しかしそれらは例外で、近代国家では上に述べたものが基本的な考え方となっている。
3.国境は誰が守るのか
昨年来、領土問題を巡って不穏な動きが続いている。これを受けてか安倍政権は防衛費、事実上の軍事費を11年振りに増額しようとしている。ちょっと待って。「領土問題」と軍事費がどうリンクするのか。
たとえば尖閣諸島は日本の領土だとすると国内。ならば軍隊は活動できず、警察。ただし海上は海上保安が警察と消防の役割を一手に引き受ける。中国にとっても彼らの「国内」だから軍艦は来ずに「海洋監視船」がやって来る。国内は警察、国外は軍隊という分担が近代国家での常識だとすると、国境はどうか。これも警察か国境警備隊、日本では海上保安(Japan Cost Guard)で、軍隊の出る幕ではない。ちなみに海上保安庁は防衛省ではなく国土交通省。
なぜ国境警備が軍隊でないかというと、そんなところに軍隊がいたら、軍事衝突から戦争に発展する危険がある。もし国境付近に軍隊を配備したならば、攻めてくる予兆と相手国は判断する。これも近代国家の約束事。
中国海軍の艦船が海上自衛隊の護衛艦にレーダー照射したという。中国側は否定し日本側は証拠を出せないから「薮の中」にしかならないが、それが起こったのが、なぜ尖閣諸島付近ではなく東シナ海の「公海上」とされているのか。海上保安庁と海上自衛隊との管轄の違いを考えると合点がいくはずだ。
国境で領土を守るのも軍隊ではないとしたら、そもそも軍隊は何のためにあるのか。もちろん、他国を侵略するためのもの。他国から見れば軍隊だが憲法9条で「専守防衛」が建前の自衛隊は、いったいどこで活躍するのだろうか? 答えは簡単。そんなもの必要ない。自衛隊が役に立つとすれば災害時の救援しかないだろう。ならば国防軍ではなく「広域消防隊」とすれば良いのではないか。
(Originally posted on 10 Mar 2013, 22:45)
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