人気パビリオンの秘密

大阪・関西万博2025 は「並ばない万博」を標榜したが、いたるところで並ぶ。とりわけ人気パビリオンには長蛇の列。予約ができないアメリカ館やフランス館。予約可能なイタリア館も予約枠は2ヶ月先まで埋まっており、予約なしで受付の列も最長クラス。

これらの「人気館」には共通点がある。オランダ館は予約のみ。なのに行列ができる不思議。オランダ館の行列の理由を解くと、長蛇の列をなす人気館の理由も分かってくる。

オランダ館の予約は30分単位。最初の枠は10:30-11:00(それまでは予約なしの先着順)。予約した時間に訪れると列に並ばされる。先頭から30人ほどが館内に案内され、また5分ほどして次のグループが案内される。こうして最長30分待たされることになる。(それぞれの数字はおおよその推定。)

館内のルートは一直線(ほんとは折れ線)で、最後にミニシアターでムービーを見せられる。すなわちこのシアターの席数×上映時間が処理速度になる。アメリカ館もグループ毎に案内人が誘導し、最後の部屋でロケット発射のイベントとなる。イタリア館は冒頭に映像が映し出され、それが終わってスクリーンが開いて入場となる。すなわちこれらの館は時間あたりの処理人数が固定されている。

いっぽうUAE(アラブ首長国連邦)には行列がまったく無い。(あるのはカフェへの行列。)なぜかというと館内に展示物が散在して置かれ、観覧ルートは定められていない。観客はフロア内を自由に回遊し、興味あればスタッフに問えば解説してくれる。興味なければ素通りする自由がある。複数の国が雑居するコモンズ館に待ち行列が無いのと同じ理由だ。

長蛇の列の「人気館」。多様性を謳う万博で、多様性と民主主義を価値観とするはずのo欧米の国々が、観覧者の主体性を奪う、じつは管理社会なのかもしれない。

Posted on 10 May 2025, 19:41 - カテゴリ: 万博
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いのち輝く?

大阪・関西万博2025 大阪ヘルスケア・パビリオンで25年後の自分の姿と対面できるというリボーン体験。若い人とには受けるのだろうか?75才以上の後期高齢者は「位牌になってるかな」と、冗談を飛ばす。

肌や骨、血管など8つの要素を測定し、その結果から25年後の姿がアバターで表示されるという。みんな勘違いしてると思うが、このアバターは本人の顔写真と身長だけしか使っていない。AIで老け顔を作成しただけのもの。他の測定データーは要素別にA〜Dなどと告げられ、帰りにはサプリメントなどの試供品がプレゼントされる。気になれば館内の赤壁薬局で購入もできる。、

この健康に関するビッグ・データーは参加企業に共有される。化粧品や食料品メーカーや保険会社などが名を連ねている。命や健康をビジネスというか金儲けの種にしようという方々。

この館のプロデューサーである森下竜一博士は今回の万博の総合プロデューサーでもある。いわゆる「大阪ワクチン」で多額の補助金をもらって、けっきょく失敗したアンジェスの人。

今回の万博の施設は閉幕後に撤去されるが、この大阪ヘルスケアパビリオンだけは残されて、医療設備になるそうだ。IPS細胞を応用した再生医療などを提供し、海外のお金持ちをターゲットにした医療ツアーなどを呼び込もうとするのだろう。隣のカジノもセットで。

いのち輝く未来社会のデザイン」は本万博のメインテーマだが、未来の命は輝くのか、それが金儲けのネタにされる社会なのか?と、ふと思う。

Posted on 9 May 2025, 15:10 - カテゴリ: 万博
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伝統工法の進化形?

大阪・関西万博2025 会場の大屋根リングさきの記事では、伝統の貫工法で隙間を埋めるべき楔(くさび)の代わりに鋼板とボルトを用いると明らかにしたことから、「伝統工法を受け継いだ現代の進化形なのでは」と、思う方もいるかもしれないので追記する。これは「進化形」ではなく別物。専門外で聞きかじった話で繋いでいるので、見当外れならお叱りを受けたい。

日本の貫工法は古くは縄文時代からという説もある。ともかく明治に西洋の建築技術が入るまで、日本の建築物は柱と梁だけで支え、斜めの補強部材は無かった。地震があれば当然揺れる。楔を打った接合部はキシむ。そのことで振動エネルギーを吸収するようになっている。

この部分を鋼板とボルトで固定することは、振動エネルギーの吸収を期待しない、ラーメン構造という別物になってしまう。典型的な木質ラーメン構造で部材は突合せだが、大屋根リングでは柱に穴を開けて梁を貫通させる。それでもどうやって建物を支えるかという点で伝統工法とは似て非なるものとなる。

木材の使い方についても触れたい。伝統的には自然木から丸太をそのまま、あるいは切り出すのだが、大屋根リングでは集成材を使っている(ベニヤ板と同じ手法)。そのほうが扱いやすいので「進化形」とも言える。

木材の弱点は水。雨ざらしだと朽ちてゆく。大屋根リングは早くから建築を始めているので、すでに1年〜1年半経過していて、一部に変色が見られる。藤本壮介氏は「何らかの形で残したい」と希望を述べているが、何年持たせようと考えているのだろうか。

清水の舞台も雨ざらしといえばそうかもだが、それなりに対策がされている。舞台の上には屋根がある。大屋根リングには屋根が無い。もちろん防水処理はしているだろう。

大屋根リングの基礎には(一部?)杭打ちがされているそうだが、その基礎に柱は固定されているのだろうか?日本の伝統工法で柱は地面に固定されていない。このことと貫工法とが合わさって免震構造となっている。柱は石の上に乗っているが、この礎石は水はけが良い形になっている。大屋根リングはそのように見えず、足元から腐食しかかっているのが認められる。

木口から、また貫の部分から水が染み込んでくる。清水の舞台ではその対策に小さな庇(ひさし)が付けられているが、大屋根リングはどうだろう?

Posted on 3 May 2025, 20:17 - カテゴリ: 万博
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伝統工法?万博のフェイク

大阪・関西万博2025会場で圧倒的存在感を示す大屋根リング。京都の「清水寺と同じ工法」と誤解して発信されている方がいるが、それは間違い。通産省のページに『京都の清水寺に代表される「貫(ぬき)工法」と言われる工法を基にした建築技術が用いられています。』とあるから、そう思うのもしかたがない。同時に「伝統的な工法に最新の技術を織り交ぜ」とあり、これに沿った説明する人もいる。

万博協会の公式ページを見てみよう。
「伝統的な貫(ぬき)接合に、現代の工法を加えて建築しています。」とある。貫工法ではなく、貫接合としている。木の組み方は貫だが、工法は現代のものだと言っている。つまり別の工法でありながら、見かけだけ清水寺に似せたフェイク。


2022年7月13日、これを計画した藤本壮介氏が「京都の清水寺の舞台を彷彿とさせる木造の貫工法で伝統と未来を繋ぐ試み」と、言っているので、マスコミ各社が「清水寺の舞台の工法も応用」と報じたのは間違いではない。しかし吉村大阪府知事などが「清水寺にも使われている釘一本使わない貫工法」と言ってしまった。

その後、工事中の写真から、鋼板やボルトが使われていると指摘され、2023年11月24日には国会で「釘やボルトも使っている」との政府答弁があった(立憲民主党。森山浩行議員の質問に)。

じっさいの工法は読売新聞の記事が詳しい。

伝統工法でもなんでもないものを「伝統的な工法に最新の技術を織り交ぜ」と言ってみたり、地上を走ることができない小型ヘリ(あるいは大型ドローン)を「空飛ぶクルマ」と呼んでみたり、運転手が居ないと大事故になりかねない「無人運転バス」。この万博にはフェイクが多すぎる。

そういえば日本館の目玉「火星の石」って、地球上に落ちてたのを拾ったものなのね。

Posted on 3 May 2025, 10:49 - カテゴリ: 万博
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予約なしでも楽しめる万博

大阪・関西万博2025予約地獄にはうんざりさせられる。だが回避する方法もある。当日チケットを購入することでもそこそこ楽しめる。なんならスマホなしでもOK。万博ID不要でアプリもインストールしなくてよい。万博協会からのおしらせに手順が書いてある。

当日チケットは東西ゲート外の「チケット引換所」で購入できる(キャッシュレス決済)。ただし発売開始は空いている日で午前10時から。混雑時は11時から、あるいは12時からになる場合や、17時(夏場は16時)入場の夜間入場チケットのみになる場合がある。翌日の発売予定が「今週の万博」で発表されるので、前日にチェックしたい。ただし発売開始時間が当日になって遅れることもある。早まることがあるのかどうかは分からない。

地下鉄で行く場合は東ゲートになる。空いているとされる西ゲートへはJR桜島駅からのシャトルバス。予約なしでも当日乗車券をバス停留所で350円、現金でも買える。到着する第1ターミナルに並ぶ建物の右端に「チケット引換所」がある。こちらはキャッシュレスで、交通系ICカードタッチ決済対応のクレジットカード。平日6,000円(休日7,500円)。券にはQRコードが印刷されているので、それで入場できる。

入場後、場内にある当日登録センターなどの端末機で当日予約もできるが、10時の入場では空きは少ないだろう。インフォメーションセンターで紙の地図を200円で売っているが、かなりの行列ができるという。改善されるだろうか。

会場内パビリオンは予約なしでも入れるところは多い。ただし多くの場合長時間並ぶことになる。予約。予約でガチガチに固めても、スケジュールに縛られることになる。ブラブラ散歩し、空いているパビリオンがあったら飛び込み。そういった歩き方も良いのではないだろうか。

当日券だと早くても10時以降の入場。どうしても9時に入りたければ、事前にコンビニなどで紙チケットを日時指定で買っておく。入場予約の空き具合は前出の「今週の万博」でチェックできる。コンビニでの購入はタッチパネルでの操作となる。この紙チケットにはQRコードが無いので、さきのチケット引換所でQRコード付きのものを発行してもらう。この方法でも万博IDは作らなくてよい。パビリオンやイベントの事前予約には参加できない。入場後の当日予約は空きがあれば可能。

Posted on 9 May 2025, 18:42 - カテゴリ: 万博
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