シンデレラのスカート丈
ディズニーのシンデレラ物語はペロー童話をベースにグリム童話からのエピソードやアイテムを拝借している。ペロー童話は17世紀のフランス。ディズニーアニメ『シンデレラ』(1950)はこの時代設定を基調としつつ、アニメ公開当時のアメリカ合衆国の観客に親近感を与えるようアレンジされている。17世紀にしては主人公の普段着のスカート丈が短いのに違和感があった。この点について 江良智美(2010)(pdf) によれば、
ペロー原作の 17 世紀を舞台にしているわけではなく,基本的な家屋構造や移動手段,脇役の衣装などは近世から近代までの風俗を混在させたような雰囲気で描かれている.しかし,シンデレラと王子の服飾は,明確に 20 世紀初頭をイメージさせる現代的なスタイルで描かれている.
さらに主人公シンデレラについて言えば、1940年代後半のアメリカ国内の服飾流行であるという。
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セニョリータと呼ばれる理由
真夜中12時を打つ鐘の音に、シンデレラは慌てて城を後にする。見張りをしていた大公は「待って、お嬢さん!」と呼び止めようとする。このとき大公はシンデレラに英語 Young Lady, フランス語 Madmoiselle, スペイン語 Señorita と、3ヶ国語で呼びかける。これはなぜなのかを考えてみる。
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最初、寝ぼけ眼に不意を突かれて、大公にとってネイティブの英語が口を突いて出たのだろう。その後、舞踏会ならば公式のフランス語で。宮廷の誰も見覚えのないシンデレラは、もしかすると隣国の王女かもしれない。最後はとりあえずスペイン語で呼んでみたというところか。
舞踏会で紹介される出席者の多くはマドモワゼルの肩書で、フランス系らしき名前が並ぶ。しかし、寝ぼけた大公の口を突いて出たのが英語だということは、舞台は英語圏。続いてフランス語とスペイン語というのは、やはりフランスの香りを残しつつ、合衆国の観客にとって自然なように配慮されたものだろう。
ちなみにフランス語吹き替えは3度とも mademoiselle で統一されている。(Youtube)
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シンデレラはフランス語を話せる?
初出: 06 Sep 2019
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