日本共産党が党名を変えない理由
これについては日本共産党のQ&Aやカクサン部長が答えている。その上で、なぜこの問いが発せられるか、私なりの考察を加えてみたい。この疑問の多くは善意から発している。「共産党」や「共産主義」というと、旧ソ連や中国、北朝鮮のマイナス・イメージがある。あるいは現体制をそっくりひっくり返す極端な主張を想像する。ところが、日本共産党の主張を聞いてみると、旧ソ連や中国、北朝鮮とは無縁だし、主張は穏便でまっとうに見える。それならば……と、いうことから。
先日、東京大学でケインズ経済学者の大瀧雅之教授と本共産党副委員長の小池晃との討論会があった(しんぶん赤旗 日曜版 2013.1.27)。すごい対決になると思いきや、日本の経済政策について両者はほとんど一致したという。
それもそのはずで、日本共産党は、日本を当面は資本主義を前提に、大企業・財界の横暴とアメリカ言いなりの政治を正そうとしているだけだから。では共産主義化は諦めたのかというと、そうではない。資本主義下での改革の後、共産主義への発展の展望を持っている。
では、なぜ一気に共産主義に向かうのではなく、当面資本主義下での改革なのか。理由は2つあると私は思う。(日本共産党公式の立場は綱領参照。)
第1は、いまの日本は、自分の国のことを自分たちで決められないということ。
たとえば原発ゼロへ舵を切ろうとすると、財界やアメリカが横槍を入れてくる(既出記事)。
消費税にしても何にしても、国民の願いとは真反対のことを政府は進めることができる。民意を表さない選挙制度がそれを可能にしている。マスコミによる誘導も使って。
財界やアメリカの支配から脱し、民主主義を開花させることが、いまの日本にはまず必要なのだ。
第2は、民主主義の無いところに「共産主義」を打ち立てることの危険。
「共産党は批判勢力として少数ならば良いが、政権を取ったら大変」と、心配するむきもある。その不安には正当な面もある。旧ソ連や中国、また朝鮮半島の問題は、民主主義の経験が少なかったということもある。独裁者が権力を握り、国民は悲惨を味わった。
戦前のドイツや日本もそうだったが、いまもその危険はある。共産党とは限らない、いずれかの勢力がいったん権力を握ったら、自由な言論を封殺するかもしれない。そうなったとき良識ある国民はそれに抵抗できるだろうか?
「共産主義」にモデルは無い。むしろ将来の国民が手探りでその姿を構築していくものだろう。その過程では危ういことも起こる。誤りがあればそれを修正する力、民主主義を徹底し発展させておかないと、ほんとうに危険だということを、私は警告したい。
参考:
* しんぶん赤旗 2013年6・7月号外(PDF)
納得させられるポスター(Facebookより)
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