人口ピラミッド
左の三角形と右の三角形。色分けを別にすれば上下をひっくり返しただけで同じ。賢明な方々はこの図で私が何を言いたいかすでにお察しだろう。これを人口ピラミッドと見れば、左は高度成長期の日本。「核家族」の典型は両親に子供3人。右までは行かぬが昨今の3世代家族は、祖父母、若夫婦、一人っ子。
全体の三角を支える稼ぎ手が図中の青い帯だとすると、その比率は左右で変わらない。「税と社会保障」をマクロに眺めるとそういうことになる。
政府が言ってきた「胴上げ型社会から騎馬戦、肩車型へ」というのは、現役世代(青色部分)の払う掛金で現在の受給者(黄色部分)に支払うという年金制度が将来破綻するという限りで正しい。
人口ピラミッドの変化を前提に、それに対応する年金制度の改革を言うならば、年金会計への国庫からの繰入れは当然。それがマクロに見て財政破綻の原因とはならないことは上図が語っているのではないか。
もちろん人口が先細る少子高齢化は是認することはできない。なぜこうなったかや、その影響については続きで。
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中国で人件費高騰の理由
日本の人件費は高く、人件費の安い中国に工場を建てることが流行った時期がある。その中国も人件費が上がってきて、いまはベトナム、これからはミャンマーなどが有望視される。なぜ中国での人件費は上昇したのか。需要と供給で説明することを試みるより、中国へ世界からの企業進出のおかげで中国人の生活水準が上がったと説明するほうが早いだろう。
さて日本では社会保障費の増大で財政は逼迫。増税するか社会保障を縮小するか……という議論もなされている。「税と社会保障の一体改革」がそれ。
しかしさきに見たように消費税増税しても税収が増える見込みがない。消費税増税に先行して大企業減税を実施するなど、財務省には財政赤字を改善しようとする気が見えない。
じつは政府の財政赤字は意識して作られたものではないかという気が私はしている。そのことはさておき、もし財政赤字を改善するのが目的ではないとしたら、生活保護基準引き下げなど社会保障削減の本当の狙いは何なのか?私の推測の楽しみは続く。
想像するに日本の生活水準を全般的に引き下げることそのものが目的なのではないだろうか。
日本国憲法第25条に「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」とある。この「最低生活」を、贅沢言わず辛うじて生命を繋ぐギリギリまで下げ、それと近い低所得者層をたくさん作る。そうすれば日本での人件費も安上がりになって、国内での企業活動も楽になる。……そのような絵を描いているのではないかと。このデフレ不況、高失業率の下で公務員の人員削減や賃金カットも、そのシナリオならば理由が付く。
しかし、このシナリオは成功しない。続きはこちら。
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震災復興
「被災地域の復興なくして日本経済の再生はない。」が、「日本経済の再生なくして被災地域の真の復興はない」(2011年6月25日、東日本大震災復興構想会議 復興構想7原則の5)と、逆転したのはなぜか。さきの国会において、いわゆる3党合意によって成立した東日本大震災復興基本法は、その目的として何を掲げているか:
「東日本大震災からの復興の円滑かつ迅速な推進と活力ある日本の再生を図ることを目的とする。 」
この道筋を作った政党、政治家には自己批判してもらいましょう。
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デフレ脱却
Hさん:日銀は金刷って俺に配って。浪費家だからじゃんじゃん使うぜ。
御意。国内消費を増やすためとあらば、私も喜んでお手伝いさせてください
一般的に言って、貧乏人にお金を渡すとすぐ使ってしまう。使わざるを得ない。
金持ちに渡すと投機など、いらぬことに使う。
大企業に渡したところで工場を建てるわけでもなく人を傭うわけでもない。物を作っても売れないから。みんなが買う金を持っていないからだが。
札を刷っても、それが回らない。大企業はすでに内部留保、すなわち使い途に困っている金がいっぱいあるので、金を借りてくれない。金が欲しい中小企業には、危ないので貸さない。銀行にとっては確実に利息を払ってくれる国と地方公共団体だけが良いお得意先。
だぶついた金は日銀の金庫に眠るだけとなる。いま都市銀行が日銀に預けている普通預金残高は過去最大級になっている。
参考:
- 日銀の当座預金残高が過去最高(2012年9月24日 ロイター)
- 日銀当座預金は過去最高でもマネーが市中に流れないワケ(2012年7月4日 週刊ダイアモンド)
そんな中で法人税の最高税率を下げたとかまだ下げるとか、所得税の最高税率もいまはかなり下がっているというのは問題。増税しなきゃお金が足りないというのなら、なぜここを問題にしないのか。触れない政治家、政党は、結局大金持ち、大企業に買われた身なのか。
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少子高齢化
結婚し子供を育てる金が無い。統計を取ると収入と既婚率には綺麗に相関がある。「結婚したいけど、せめて正社員にならないとなあ…」という人が多い。労働力の流動化だかなんだか、非正規雇用と低賃金、この格差社会を是正しない限り解決は無い。
日本のこれまでの政策を見てると「少子高齢化」は増税の口実にされているだけで、本気で対処しようとしていると感じられない。
フランスも一時少子化が進んだが、気がついて是正の政策を取り、いまでは出生率がずいぶん上がっている。正規雇用と非正規雇用とで給与などの待遇に差別を付けてはならないという法律があるし、母子家庭でもちゃんと子育てできる給付も環境も揃えている。
日本では「子ども・子育て新システム」とやらで、行政の責任を放棄して民間に委ねる内容の法律が通ったが、方向が真逆。
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