これほどまでに問題の多い原発。それでも止めない理由に「エネルギー安全保障の問題」があるという。それはいったい何なのか。
いま日本のエネルギーの自給率はわずか4%にすぎない。 50年前の1960年には54%あった。
最近は発電に石油は使っていない 最近30年の燃料別発電量
原子力技術は米国からの導入。燃料の濃縮ウランは当初100%米国から輸入(現在は 70%)。
原発もけっきょくは鉄とコンクリート
原発を有する主要国を見ると、日本と韓国、脱原発を決めたドイツを除くと上位はいずれも先の大戦の戦勝国であり、核兵器保有国。
原発を保有することは核兵器を製造する潜在的能力があるという考えがある。
石原東京都知事は再々そういう趣旨の発言をしている。
自民党の石破政調会長(当時)も:
「日本は(核を)作ろうと思えばいつでも作れる、1年以内に作れると、それはひとつの抑止力ではあるのでしょう。それを本当に放棄していいですか」
(2011年8月16日 報道ステーション 私はこう思う 石破茂自民党政調会長)
広島に投下された原爆はウランでできており、長崎に落とされた原爆はプルトニウムでできていた。いっぽう原発はウランを燃やし、プルトニウムができる。ウランから原爆を作るのはたいへんで、それよりもウランを燃やしてプルトニウムを作り、それで原爆を作るほうが容易だ。
もともと原発はプルトニウム製造装置 - ウランを燃やす過程で発生する熱で、ついでに発電
ところが(廃炉中の東海1号機を除き)、日本にある軽水炉は原爆製造装置としては欠陥品。
軽水炉で作られるプルトニウムには、原爆に適したプルトニウム239とともに同位体のプルトニウム240も多く含まれる。このまま原爆を作ると暴発(自発核分裂)の可能性があって兵器としては役に立たない。
(米国が北朝鮮に対し、核兵器開発放棄を条件に軽水炉を提供すると提案するのは、この理由による。)
いずれにせよ使用済核燃料からプルトニウムを取り出す技術が必要となる。 六ヶ所村で試運転中の核燃料処理がそれだが、残念ながら軽水炉の使用済核燃料からは、原爆に適したプルトニウムを取り出すことはできない。 原爆に適したものを作るには、高速増殖炉と、それにより作られるプルトニウムを抽出することが必要となる。
軽水炉を持っているだけでは原発は作れない - 核燃料の再処理と高速増殖炉が不可欠
高速増殖炉「もんじゅ」に見通しのない中、プルサーマルもできなければ核燃料の再処理(核燃料サイクル)も根拠を失う。 政府、支配層がプルサーマル実施にやっきになったのはそのため。
兵器というものは、敵にダメージを与えても味方にはダメージを与えてはならない。
たとえば細菌兵器だと病原菌を発見あるいは開発すると同時に、特効薬の開発が必要。 化学兵器の場合、それを散布して打撃を与えたあと、ガスマスクでも付けて制圧に入ったとしても、その後消毒の手段を持っていないと、後の支配に支障が出る。
核兵器の場合、破壊することはできるが、残る放射能を防ぐ術がない。
ほんとうに大国日本を目指すとすれば、漫画『攻殻機動隊』に登場する「日本の奇跡」、放射能汚染除去技術の開発こそいま必要ではなかろうか。
Wikipediaより: 日本の奇跡(にほんのきせき)は、『攻殻機動隊』及び『アップルシード』に登場する架空の用語の1つで、大日本技研(後のポセイドン・インダストリアル)が開発したマイクロマシンによる放射能除去技術とされる。この技術により、日本が驚異的な戦後復興を遂げるに至ったという想定になっている。