「核燃料はリサイクルできる」というのは本当だろうか?
「資源の少ない日本では原子力に頼ることも止むを得ない」?
しかし「日本にはエネルギー資源が少ないが、ウランだけはある」などという話も聞いたことはない。
世界的に見ても、ウランといえども少なくとも石炭より早く枯渇すると言われている。 (天然ガスは近年「シェールガス」と呼ばれる採掘法が開発され、期待が持たれている。)
ウラン鉱石の輸入先はオーストラリア、カナダなど。ウラン濃縮は7割以上が米国なので、オーストラリアはさておき、日本やカナダを米国の属国だと規定すれば「準国産」と呼ぶのは理解できなくもないが……。
原発でウランを燃やすと、非常に高いレベルの放射線を発生する物質も含むやっかいなものができる。 (いわゆる「死の灰」)。
この中にプルトニウムがある。ウランは広島型原爆の材料だが、長崎に落とされた原爆はプルトニウムでできていた。同じように原爆の材料なら、プルトニウムを燃やしても電気が作れるのではないか。
おまけにウランを燃やすとプルトニウムができ、プルトニウムを燃やすとプルトニウムができる。と、いうことは…… え~、こんなうまい話、乗らないでどうします。
自然界に存在せず原子炉でのみ作られる。原爆の主要な材料。 強い放射性と化学的毒性を持つ。 半減期は数万年。 名前の由来は地獄を支配する冥王プルート。
プルトニウムを燃やすとプルトニウムができる。
しかも投入した燃料よりも多くの燃料が産まれるので……。
(同時に放射性廃棄物も産まれる。)
いまも(たぶん来年も)「もんじゅ」だけで毎年約200億円の経費が使われている。
海水中に含まれ、食塩の原料ともなるありふれた金属。高速増殖炉で燃料の冷却に使われる。常温で空気と反応し、水と激しく反応し水素を発生する。 高温で液体。水蒸気と触れると爆発する。
プルトニウムを燃やすはずの高速増殖炉に見込みが立たない中、
再処理した核燃料の消費先として、現行の軽水炉でプルトニウムを燃やす計画が推進された。
これが「プルサーマル」(和製英語)
一見さきの高速増殖炉のサイクルと似ているが、 左上から投入される新たなウランが9割、再処理された燃料は1割にすぎず、リサイクルしてるとは言えない。
そのために巨額の費用を投じる再処理に疑問符が付く。
また再処理によって放射性廃棄物の総量はかえって増大するとも指摘されている。
原発に関わる説明会、シンポへ国の関与があったいわゆる「やらせ」は2005年〜2008年のプルサーマル計画推進の時期に集中している。
商用原発でのプルサーマル実施は玄海原発が第1号だった。
使用済核燃料からプルトニウムを取り出す再処理はこれまでフランスと英国に依頼してきた。
国内では東海村でのテストプラントを経て、青森県六ヶ所村に再処理工場を建設することとなった。
当初は建設費7600億円としていたが、すでに2兆1930億円を費やしている。 (うまくいけばもう1基建設する計画だとか。)
原発から出る低レベル廃棄物は各原発敷地内や六ヶ所村の埋設センターに置かれている。 高レベル廃棄物は現在六ヶ所村の貯蔵管理センターに仮り置きされている。この最終処分地はまだ決まっていない。 また今回の福島第1原発事故による放射能を除染して出る廃棄物はどこへ持っていくのだろうか。
いま人類は放射能を安全に処理する術を持っていない。ならばどうするか……。 2つの方法