なみはや号へのレクイエム
平成元年(1989年)に、「大阪市なみはや号プロジェクト」という大規模な企画があった。5世紀前葉と思われる古墳から出土した舟形埴輪を原型に実物大の古代船を復元。大阪から韓国の釜山までを航海するというもの。7月8日に大阪港天保山出航、8月11日に韓国の釜山港に入港。無事成功したかに見えた。参考:古代船「なみはや」物語
その10年後、ことの顛末が明らかとなる。
実際に海に浮かべて漕いでみますと、非常に安定が悪く、そのうえなかなか進みません。10年たった今だから言えるのですが、韓国の港では、学生達が古代の赤いたすきの衣装に着替えて、ずっと8人で漕いできたかのように振る舞ってもらっていましたが、実のところは夜間、他の船に牽引してもらっていたのです。
(財団法人 大阪市文化財協会 調査部長 永島暉臣慎 古代船の再現「古代研究」第9号:1999年5・6月号)
モデルとなった埴輪はこれ。
で、実物大にして作っちゃったのがこれ。
1980年代後半は官民ともに無駄にお金を使っていた時代だとはいえ、「現在の船の構造設計者によると、とても構造的に船にならない」(同前)と言われていたものを、どうして造ったのかなあ。素人目に見てもおかしいでしょ、こんな船。
船のような形だからといって、船とは限らない。船形のモニュメントかも知れないし。
魏志倭人伝につぎのような記述がある、
埋葬の時には屍を船の上に置き陸地でこれを引いたり、小さな輿に乗せたりする。
件の埴輪は葬列の模様。陸上を修羅(しゅら)で引いた姿を摸したものだろう。
参考:船型埴輪は舟葬用の船を模したもの
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