映画『MATRIX』の登場人物である トリニティは新約聖書中のマグダラのマリアに相当するのではないかと言われる。 ところで、もう一人のマグダラのマリアをこの映画に発見できる。 『MATRIX RELOADED』、『MATRIX REVOLUTIONS』で登場するパーセフォニー。 女優モニカ・ベルッチが その豊満な胸と抜群のスタイルを誇示するコスチュームで登場し、 主人公ネオに迫るなど、娼婦的な役どころを演じた。 『マトリックス』全シリーズ中でもっとも艷っぽい登場人物。主人公ネオと口づけしたのは ヒロインのトリニティのほかは彼女だけである。
映画でパーセフォニーの旦那のフランス人というのが「メロビンジアン」という名だが、 メロヴィング王朝はイエスとマグダラが残した子孫であるという説が『レンヌ=ル=シャトーの謎』や『ダ・ヴィンチ・コード』で出されている。 つまりメロビンジアンというのは救世主の末裔ということになり、 役柄の上でその夫人であるパーセフォニーが(遠縁で)マグダラに相当し、 (同じくマグダラに相当する)トリニティと張り合って新たな救世主ネオの口づけをねだるというのも頷ける。 (映画の森てんこ森などを参考)
モニカ・ベルッチは 映画『パッション』 でマグダラのマリア役に抜擢された。 英語で passion はふつう「激情」などの意味で使われるが、 古くは「苦痛」の意味があって、 The Passion と大文字だとイエスの受難劇を指す。 福音書によるイエスの受難劇においてマグダラのマリアは不可欠の存在であることはすでに見た。 知的な顔立ちに艷っぽい肢体、『パッション』でのモニカ・ベルッチのキャスティングから、 現代でも変わらぬカトリック世界でのマグダラのマリア像を窺い知ることができる。 私は未見だが、映画の中でマグダラのマリアは「姦通の現場で捕えられた女(ヨハネ8:3-11)」と同一視されているという (うりりん@トロンボーンほか)。
また、モニカ・ベルッチの事実上の出世作、 映画『マレーナ』で、 彼女演ずるヒロインの通り名 Malena が 正式には Maria Maddalena (マグダラのマリア)であるのは偶然ではないだろう。