どうして電気は足りたのか

2012年夏は記録的猛暑で、関西の電力消費は8月3日にそのピークを迎えた。この日でさえ、もし大飯原発が稼働しなくても電力消費は足りていたと関西電力は分析した。事前には「停電ならば…命の危険」(2012年6月16日 産経, 2012年6月8日野田内閣総理大臣記者会見など)と言われたのに、どういうことか。

関西電力はそれまで40%を原発に依存していた。原発のほとんどが止まっても、なんとかなったのは10%の節電と、他社融通。マクロの話をすると、もともと原発がなくても日本の電力は足りている。何度か使った藤田祐幸博士が作成したグラフを再掲。



過去から現在まで原子力を除いた発電能力を最大電力が超えたことはない。原発の建設が始まる70年代後半はというと、日本の高度経済成長はすでに終わっており、電力需要の伸びも鈍化してきている。いわゆるバブル経済がはじけた90年代以降、最大電力はほぼ頭打ちとなっている。 そこに原発がどんどん建設されるのだが、原発だけでなく、同時に水力も火力も建設されている。なぜだろうか?

建設される水力の多くは原発に付随して必要な揚水発電だ。 電力需要の減少する夜間には止めるというような小回りは原発にはできない。 そこで余った深夜電力を貯めておく揚水発電がセットで必要となる (東京電力)。

原発はちょっとしたトラブルで停止して、その復旧に半年とかそれ以上に長期を要することがある。 それでは安定供給責任の問題になるので、バックアップとして火力発電所も必要となる。 火力にも事故はあるが修復は早い。例えば2011年3月11日の大震災で東京電力が計画停電を行ったのは原発だけでなく火力も被害を受けたから。その計画停電は4月末の連休には解消している。

原発を建てるとき揚水水力と火力発電もセットで必要。そのような理由で、原発を建てれば建てるほど、設備過剰となる。その無駄は「総括原価方式」で電気代に上乗せされる。

サイト内関連記事:
1.原発を再稼働できない理由
2.玄海原発をただちに再稼働しなければならない理由


参考記事リンク:
1.[検証]関西電力の今夏の需給対策、データが示す来年の進路は ( 2012年10月09日 石田雅也,スマートジャパン)
2.【関電、ピーク時も原発不要】今夏、大飯再稼働に疑問/専門家「需給検証を」(2012/09/01 共同)
3.関電「電力不足予測過大だった」大飯3・4号機の3倍増(2012年8月11日 京都民報)
4.なぜ関西電力は大飯再稼働後に今夏の電力需給見通しを「改訂」したのか (2012年07月23日 高橋 洋一 , 現代ビジネス, p.2)


Posted on 22 Feb 2013, 0:14 - カテゴリ: 原発
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