radioactive

原発は危なすぎる

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I. 原子力発電について

原子力発電の原理

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  1. 原子炉で湯を沸かす
  2. 発生した蒸気でタービンを回し発電
  3. 蒸気を海水で冷やして水に戻し、ふたたび原子炉に

エネルギを産むには熱源だけではダメで、冷やす手段が必要。 原発や火力発電所が海岸沿いに作られるのはこの理由から。

火力発電と同じで湯を沸かす熱源が違うだけ

化学的反応と核分裂反応の違い

化学反応の例

C + O2 = CO2 + 349kJ

炭を燃やすと二酸化炭素とともにエネルギーが発生する。
この式は可逆で、二酸化炭素と(水と)太陽光のエネルギーがあると葉緑素の介在で炭水化物(糖質)と酸素ができる。
nCO2 + mH2O + 光 →(葉緑素) Cn(H2O)m + nO2

核分裂反応の例

235U + n → 95Y + 139I + 2n + 数千GJ

ウラン235 に中性子が反応し、イットリウムとヨウ素、中性子2個とエネルギーを放出する。
さきの化学反応と一見似ているが……

原発が爆発しないのはなぜか

天然のウランの成分のうちほとんどは燃えにくいウラン238で、燃えやすいウラン235は 0.7%程度。 燃料として使うには燃えやすいウラン235の割合を高める濃縮が必要。

ウラン235とウラン238の割合 制御方法
原子力発電
Nuclear reactor
ウラン235の割合が低い
制御棒が多数設置されており、また自己制御性があるため急激に核分裂数が増加することはない。
原子爆弾
Atomic bomb
ウラン235の割合がほぼ100%
制御棒が設置されておらず、自己制御性がないため、急激に増加する核分裂を止めることはできない 。

原爆と比べりゃ原発もより安全でしょうって。ところが……

フクシマで何が起こったのか

原子力発電は水と電気が無ければ動かない

炉心を冷やすのに水が必要。その水を循環させるためのポンプを動かすのに電気が必要。

  1. 受電鉄塔倒壊で外部電源喪失。
  2. ジーゼル発電機の水没で全交流電源喪失。

制御棒を全挿入しても残り火は止まらない

残り火(崩壊熱)はこれを消す手段はない。 ただ冷やし続けて収まるのを待つだけ。 数%といっても、もとが100万kWとかなので、残り火とはいっても……

  1. 冷やし続けることができなければ、水は蒸発し空炊き状態に。
  2. 燃料を包むジルコニウムと水との反応で水素が大量に発生。
  3. 燃料は溶け落ちて……。
ビデオ 1号機 3号機

電源喪失だけが問題だったか

3月下旬には外部電源が復帰したが……。
モーター、ポンプ、配管、熱交換器、そのすべてが健全でなければ冷却機能は得られない。
全部壊れてた。いつ壊れたのか?

いまは一段落しているのか

浄化装置のおかげで冷却水の循環は間接的ながらできている。 爆発による放射能の大量飛散の可能性は低くなった。 しかし放射能を閉じ込めるはずの障壁はすべて崩壊したまま。 強い放射線のため、修復作業は困難。現場現物での事故調査もできる状況ではない。

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