「原子力は夢のエネルギー」
そう、そしてそれは悪夢だった……。
今回フクシマの賠償額は総額20兆円を超えるだろうという試算もあるが、天井はよく見えない。 これをどう負担するかということも問題となっている。 あまり報道されていないが、原発は自動車と同じく法により強制される賠償責任保険がある (電気事業連合会「原子力損害賠償法」)。 残念ながら最高額が1,200億円で、今回の場合ぜんぜん足りないのだが、その部分は保険会社から支払われることになっている。 ところで今回の場合、東京電力が地震保険に入っていないと、その保険は下りない。 はたして東京電力は地震保険に入っていたのだろうか、というのがここでの話題です。
1,200億円という数字が保険会社にとってとてつもなく大きい額なのか、大した額でもないのか、庶民にはよく分からないが、 とりあえずリスクを分散するため、各電力会社は複数の保険会社に分散してこれを掛けている (日本原子力保険プール)。 1999年JCO 臨界事故では、この保険プールから支払われた (文部科学省「JCO 臨界事故の総括」資料2-1-3)。 ところが、地震特約についてはことごとく保険会社は辞退した。 その中でただ1社、日本の原発の地震保険を受けた会社がある。 そのおかげで、今回その1,200億円は、その1社が全額を支払う。 さて、この不運な、 でも考えてみれば世界中の各社がしり込みする中で、地震国日本の原発の地震保険を受けてしまった、おバカな保険会社の名前を知りたくありませんか? たぶんみなさん馴染みがないと思います。 でも、その名前を聞けば、「あ〜、なるほど。」と思うでしょう。 さて、どこでしょうか?
その正解は……日本政府。 驚きましたか?日本政府は保険会社もやっていた。 東京電力は掛金年間 3,000万円を日本政府に支払っており、これは電力料金に入っている。 それで東京電力の持つ3ヶ所の原子力発電所のどこでも、賠償が必要な場合、最高1,200億円が支払われるという契約になっている。
つまり、こういうことだ。 この地震国日本に原発を建てる、そういう無謀は常識では通用しない。 通用しないものを通用させるために作られたのが国によるこの制度なのだ (原子力損害賠償補償契約に関する法律) (文部科学省のページ「原子力損害賠償制度に関する質問」)。
6 Jul 2011 追記
この1200億円について、この3月に国会で日本共産党大門議員が質問したが、閣僚は何のことかよく分かっていなかったようだ
(2011年3月28日予算委員会日本共産党大門議員質問 YouTube の最後の部分)。
だが契約どおり、政府2次補正予算案に計上された。
2次補正予算案では、これとは別におよそ1500億円が今回のフクシマ原発事故関連の経費、また賠償機構に4兆270億円の国費投入が計画されている(電気新聞 2011年7月6日)。