靖国は宗教か?

「総理大臣が靖国に参拝して何がいけないのか?」 という言説が繰り返される。単純に憲法違反なのだが。

靖国神社の成立はというと、戊辰戦争において新政府側で戦って命を落とした兵士を慰撫・顕彰するために明治政府によって作られた。だから天皇や閣僚が参拝したのは当然。

設立された靖国神社は宗教施設ではなく、陸軍と海軍の共同管理。そうでなければ天皇や 閣僚が参拝できない。大日本帝国憲法で政教分離は明文化されていないが、当時の世界の近代国家の常識。

戦後に靖国神社は宗教法人として残った。新しい日本国憲法は政教分離を規定しており、天皇や閣僚がここに参拝することは憲法違反となる。戦後 しばらく 昭和天皇が参拝していたが、A級戦犯の合祀を機会に以降は参拝していない。もともと新憲法の下で参拝すべきではなかった。千鳥ヶ淵に戦没者墓地があって、ここは無宗教なので天皇も閣僚も参拝している。

総理大臣や閣僚が靖国に参拝するのは憲法違反。議員が個人の宗教心として参拝するというのは言い訳がつくが「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」などと称して 徒党を組んで参拝するのは憲法を否定する政治活動だと言わなければならない。

靖国神社の実態は宗教ではない。先の日本の侵略戦争に無反省なカルト集団の根拠地となっている。けっきょく「日本人なら靖国に参拝すべき」などと言っている連中は、戦前の大日本帝国の復活を望んでいる人たちだ。

超党派議連が靖国神社参拝
(産経2024/04/23)


Posted on 19 Oct 2025, 18:00 - カテゴリ: 右傾化とハシズム
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神家児童遊園

近くに「神家児童遊園」がある。住宅地に囲まれた本当に小さな公園だが、神の家とはえらく大層な名前ではないか。

敷地内に石碑があり「泉北郡百舌鳥村大字赤畑」とある。この地名は大正から昭和初期にかけてのもの。もう一つのヒントがある。この町の壮年会が「赤畑町神家会」と称している。地元民の証言によればこの地域は神家(しんけ)と呼ばれていた時期があった。

ネットや図書館で調べても、同じ発音の「新家」はあるが「神家」という地名は出てこない。百舌鳥八幡宮の名誉宮司さんにお伺いする機会があってその謎が解けた。

明治元年の神仏判然令によって、住民も神事を扱う神家と、寺のことを扱う寺家に分けられた。神宮寺はすぐに廃されたので、神家だけが残った。明治宗教改革の一幕だが、神家という呼び方は戦後もしばらくは続いていたという。


Posted on 21 Sep 2025, 20:43 - カテゴリ: 郷土史
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リッパー将軍の妄想

『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』という長い題名の映画(1964年アメリカ)。東西冷戦下、米空軍の一司令官の独断によるソ連への核攻撃命令によって核戦争が勃発しそうになり、大統領はそれを食い止めようとするが失敗。人類滅亡への道が開く。「核抑止」の危うさを露わにすることとなった、笑えないブラック・コメディ。


ことの起こりは「共産主義者の侵略がすでに進行している」という陰謀論に取り憑かれたリッパー将軍。その妄想とは……。


水道水にフッ素を入れるのは「共産主義者が仕組んだ」。水道水だけでなく「塩、小麦粉、砂糖やアイスクリームにまでそれは添加されており、それらを口することで、我々の純粋な体液が侵される」というものだった。

副官に妄想話をするリッパー将軍(右)


作者が何をヒントにこの陰謀論を思い付いたか定かでないが、ナチスドイツの「血と土」というスローガンに着目しよう。


ナチスドイツは食料安全保障の観点から食料自給率100%を目指した。都会を離れ農村で農事に就くことは奨励された。提唱された「バイオダイナミック農業」は農薬や化学肥料を使わない。「純粋なアーリア人」がドイツの土地を耕し、その作物を食べて「純粋なアーリア人」が育つという考え方が「血と土」というスローガンに込められている。


「食物から不純物を排除する」ことと、「アーリア人の血から不純な血を排斥する」こととは親和性が良かったのだ。やがてこれはユダヤ人の排斥から抹殺、すなわちジェノサイドへと辿り着いてしまう。


(参考リンク)20世紀・シネマ・パラダ イス

Posted on 21 Aug 2025, 0:35 - カテゴリ: 政治
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ピルスナー・ビール

大阪・関西万博2025 私の万博グルメ旅も、これにて完結。

国民一人当たりのビール消費量世界一の国をご存知だろうか。チェコがそれで、彼の国の人はそれを自慢する。ビール発祥の地でもある。ビールに香料としてホップを最初に入れたのがボヘミアガンバリヌス王だとされる。ボヘミアは現在のドイツとチェコの国境地帯だから、両国とも「ビール発祥の地」を主張できる。

日本で発売されているビールのタイプはほとんどが「ラガー」。同じものを欧州では「ピルスナー」と呼ぶ。チェコ第2の都市ピルゼンにはビール博物館がある。「ピルスナー」の語源となった町。

大阪・関西万博2025チェコ館には3つの行列ができている。館内展示への列、館内カフェへの列、そしていちばん右がテイクアウトの列。

ウルケルという銘柄のピルスナー・ビール、瓶詰めしたものが輸入食料品店でも入手できる。しかしビールは生物で、時間とともに味は落ちる。万博用に樽で空輸してきたものはさすがに旨い。昔チェコで飲んでいた記憶が脳内をフラッシュバックした。これだけでも満足だ。

中東料理はイスラム圏なので酒類の提供が無い。オランダはビールの国なのに、なぜかテイクアウトに酒類を置いていない。そこでチェコ館でピルスナー・ビール(1,250円)をテイクアウトする。

サウジアラビア館で食事の後、チェコ館でビール。オランダ館でハーリングをテイクアウト、10分歩いてチェコ館で20分並んでビールをゲット。UAE館でマチュブースをテイクアウト、10分歩いてチェコ館で20分並んでビールをゲット。なかなかたいへんだ。


チェコ館でテイクアウトのビール。オランダ館のハーリングとともに

Posted on 26 May 2025, 13:54 - カテゴリ: 万博グルメ
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塩漬けニシン

2025-05-25 追記 ネット情報によるとオランダ館のハーリングは 6月中、欠品が続いているようです。ニシン産卵期に禁漁期間があるので、その影響かと。オランダ本国では6月20日から解禁。万博にも早く届くといいですね。

大阪・関西万博2025 私の万博グルメ旅のクライマックスは塩漬けニシン(ハーリング)(800円)。オランダ館でこれが提供されているということを知ったことが、私の万博行きの大きな動機になった。通販でも入手できるようだが、万博バージョンを是非にと。

オランダ館併設カフェは展示コースの出口付近にある。他のパビリオンでもそういう配置が多く、展示を見なくても出口から入場してカフェやショップを利用できる。だがオランダ館で出口から入ろうとすると制止される。入場は早朝などをのぞき全予約制。私の1回目はそれで入手できなかったので、後日に予約を入れてやっとゲット。

オランダ国旗が立っているのは万博バージョンというよりお祭りバージョン。オランダ人にとってのニシンはオランダ独立のシンボルであり、アイデンティティ。

オランダ独立戦争の最中、ライデンの町がスペイン軍に包囲され、兵糧攻めに遭った。もうダメかと思えたそのとき、援軍によりライデンは解放される。食料も持ち込まれ、そのひとつが塩漬けニシン(ハーリング)だった。それを記念した群像の中に、ニシンの尻尾をつまんで持ち上げ、丸かじりする男の姿が描かれている。毎年10月3日は「ライデン解放の日」として塩漬けニシンが振る舞われ、人々は絵画に描かれたのと同じように丸かじりする。

私も尻尾を持ち上げて丸かじりしてみた。骨は除かれている。こうすると手があまり汚れないので合理的な食べ方だと思った。食感は締め鯖に似ている。脂が乗っており、美味しかった。

オランダ館でテイクアウトしたハーリング。オランダ国旗が立っている。

尻尾を掴んで持ち上げ、「あ〜ん」(Wikipediaより)

Posted on 25 Jun 2025, 17:55 - カテゴリ: 万博グルメ
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