最後の訪問地ローマではバチカン市国サン・ピエトロ寺院でミケランジェロによる彫刻『ピエタ』、 バチカン美術館内システィーナ礼拝堂で同じくミケランジェロによる天井画と壁画『最後の晩餐』などを観るのだが、 それらはさておき、別の壁画『聖ピエトロに天国の鍵を授けるキリスト』を見よう。

Crist hanging the key to St. Peter(detail)

左の写真はその一部である。 写真では左のイエスが聖ピエトロ(新共同訳では「ペトロ」)に天国の鍵を渡している。 マタイによる福音書の次の部分に依る。

…あなたはペトロ。私はこの岩の上にわたしの教会を建てる。…わたしはあなたに天の国の鍵を授ける。… (マタイ16:18-19)

カトリック教会ではこの記述をもって聖ペトロの初代教皇としての正統を裏付ける。

断っておかねばならない。私はキリスト者ではなく、聖書に詳しいわけでもない。 ここで書くことはそういう私の勝手な想像であるが、イエスは十二弟子は選んだものの、 そのうちに自分の後継者を指名していないと思われる。 イエスの言行を記した福音書にはイエスの弟子達が後継指名をねだるエピソードが幾度か出てくるが、 その度にイエスは答えをはぐらかしている(マタイ18:1-5,20:20-28, マルコ9:33-37,10:35-45, ルカ9:46-48)

それでもあえて4つある福音書の中にそれを探そうとすると、 さきのペトロの他にもう一人候補者が見付かる。 それはヨハネによる福音書に出てくるイエスの「愛する弟子」である。 この言葉はヨハネによる福音書にのみ、何度も登場し、その名は明かされていない。 この福音書を記したヨハネ自身であるというのが通説となっている。 上の写真で聖ペトロの右に金髪を長く垂らし女性的なポーズを取ったサンダル穿きの人物が見える。 マグダラのマリアと見紛いそうだが、 手にした巻物から福音記者ヨハネと思われる。

なお、ヨハネという名前も聖書には何人か登場する。 区別するため十二使徒の一人でありヨハネによる福音書の記者と信じられている人物は「使徒ヨハネ」あるいは「福音記者ヨハネ」と呼ぶことがある。 ほかに高名なヨハネにはイエスに洗礼を授けた「洗礼者ヨハネ」が居る。

23 Mar 2006 (初出:19 Jan 2006